村の広場に来ると芝生にムクドリたちがいて、食事用の虫を探していた。数羽のムクドリは、子育てに忙しいのかエサを探すとすぐに自分の巣の方角へ飛んで行った。
やっと飛べるようになった雛は、親鳥の後を追いかけエサを欲しがっていた。
よほどお腹がすいているのか、食べても食べても親鳥を追いかけエサをねだっていた。
自分の食べる暇もなくヒナに餌を運ぶ親鳥。美しい羽も傷んできているがそんなことにお構いなしで忙しく餌を探す姿に親鳥の愛情を感じた。
雛たちもおいしいエサが分かるらしく、親鳥が地面からイモムシを引き出すと、我先にと欲しがっていた。
時にはこれ大丈夫と親鳥の差し出すエサに首をかしげていた。少し判断力も付いてきたのかもしれない。そんなヒナを親鳥はこうやってよく噛んで食べるのだよと優しく見つめていた。
親の言うことをいつも聞いていた雛たちも次第に自分で動くようになった。親のエサを横取りすることもあったが、良く噛んで要らない所は捨てるのだよと諭すようにヒナを見つめていた。ヒナが疲れて休んでいる時も目を離さず見つめる姿は愛情があふれていて人間も見習うことが多いと思った。
親鳥に教えられ、自分で考えながらやっとエサを探しだし食べることができた。たくさんの経験を積み精悍な顔つきになってきた。
もう大丈夫と近くの藪からウグイスも太鼓判を押した。
ムクドリは全長24㌢ほど。オレンジ色の足とくちばしが特徴の黒っぽい鳥。人里の近くに住み戸ぶくろなどに巣をつくることがある身近な鳥。人の嫌がる虫が増えすぎないようにそれらの幼虫を食べてくれることもありがたいことだ。 ≪担当:吉田文雄≫